超安定な極小サイズの銀ナノクラスターを開発東京大学 研究グループ
微小な銀ナノクラスターは,金属としての銀や単一の銀イオンとはまったく異なる性質を示し,多様な触媒特性や物性の発現が期待される材料である。構造や電子状態が制御された銀ナノクラスターの合成が望まれているが,数個の原子からなる銀ナノクラスターは安定性に課題があり,その合成や利用が困難であった。本研究では,筒状に結合した分子状タングステン酸化物の内部空間を利用することで,「超安定な極小サイズの銀ナノクラスター」の製造法を発見した。これにより,銀原子が表面に露出しているにもかかわらず,前例のない高い安定性を示す銀ナノクラスターの開発が可能になった。本成果により,銀ナノクラスターと金属酸化物を組み合わせた多様な構造や用途の材料設計ができるようになる。
今後,この新規材料を利用した能動的な反応制御による化学品の合成や,光機能材料,抗菌・抗ウイルス剤などへの応用が期待される。