ゲルのやわらかさの秘密:「負のエネルギー弾性」を発見東京大学
ゲルは,ゼリー,豆腐などの食品や,ソフトコンタクトレンズ,止血剤など医療に活用される,ウェットでやわらかい物質である。ゲルから水を蒸発させたものがゴムである。ゲルとゴムのやわらかさは熱力学第二法則(エントロピー増大の法則)に基づくエントロピー弾性でおおむね説明できるというのが,100年近く信じられてきた定説であった。
今回,同グループは,この長年の定説がゲルについては間違いであることを発見した。ゲルは,保持する水に由来する「負のエネルギー弾性」により大幅にやわらかくなっており,やわらかさの温度変化もこれまでの想定より数倍大きいことが分かった。ゲルのやわらかさを決定する物理法則が解明されたことで,食用や医療用などの新規ゲル材料の開発や,ゲルが利用される産業全般に広い波及効果が期待される。