同位体を原子レベルで識別・可視化することに成功産業技術総合研究所,大阪大学,科学技術振興機構、日本電子
放出電子のエネルギーをそろえることができる単色化電子源を利用し,中性子1つ分の重さの違いを原子の振動エネルギーの差として検出することで,同位体元素を1 nm以下の空間分解能で検出する技術を開発した。これは,光やイオンを用いた既存の同位体検出技術よりも1~2桁以上高い空間分解能である。今回の開発によって透過電子顕微鏡は,物質の構造と構成元素に加え,これまで識別不可能であった同位体種別をも分析できるようになる。将来的には同位体標識を単原子・単分子レベルで追跡することで,化学反応や生体反応がどこでどのように起こっているのかを直接かつ詳細に解析できる可能性もあり,材料科学や生物学の基礎研究のほか,創薬研究など幅広い分野での貢献が期待される。