グラフェン光検出器のゼロバイアス動作220 GHzの実現と光-電気変換プロセスの解明日本電信電話株式会社,物質・材料研究機構
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日本電信電話株式会社は,物質・材料研究機構と共同で,グラフェン光検出器の世界最速ゼロバイアス動作(220 GHz)を実現し,さらにグラフェンにおける光-電気変換プロセスを解明したと発表した。グラフェンは,テラヘルツ(THz)波から紫外光までの広帯域の光に対して高感度かつ高速に電気応答すると期待されており,光検出器として利用することにより,既存半導体デバイスが動作しない波長領域でも高速の光-電気変換が可能になる有望な材料である。しかしながら,これまでゼロバイアス下における実証動作速度はデバイス構造や測定機器の問題により70 GHzに限られていた。また,これらの問題により,グラフェン本来の性質を調べられておらず,光検出器としての動作原理が解明されていなかった。これに対し,本研究ではデバイス構造に由来する電流遅延を取り除き,オンチップTHz分光技術を用いて電流を高速で読み出すことにより,220 GHzの動作速度を実証することに成功した。また,動作速度と感度にはトレードオフの関係があることを示した。さらに,これらの結果を解析することで,グラフェンにおける光-電気変換プロセスを解明することにも成功した。得られた知見により,感度を優先した光センサーや速度を優先した光-電気信号変換器など,使用用途に合わせてグラフェン光検出器の設計を最適化することが可能となる。