人の歩行運動からの発電性能を約90倍に高めることに成功大阪公立大学，兵庫県立大学，大阪産業技術研究所
IoTの大規模な社会実装に向けて，近年，環境中に存在する熱や光などの微小なエネルギーから電力を取り出すエナジーハーベスティングと呼ばれる技術が注目を集めている。なかでも，振動する物体がもつ運動エネルギーから電力を取り出す技術は振動発電と呼ばれ，天候や気象に左右されないという特徴をもつ。同グループはこれまでに，圧電効果を使った振動発電素子の開発に取り組んでおり，これまでにモーターや洗濯機など周期が一定な機械的振動からはマイクロワットレベルの電力を得ることに成功していた。しかし，人の歩行運動等で発生する衝撃的な振動では，発電電力が大幅に低下するという問題があった。
今回，振動エネルギーを電力に変換する振動発電素子にU字型の構造をもつ振動増幅パーツを取りつけた1円玉サイズの素子を新たに開発し，衝撃的振動からの発電性能を約90倍に増大させることに成功した。本成果は，素子の面積を増大させることなく発電性能を向上できるものであり，歩行運動を含む非定常的な振動から，スマートフォンやワイヤレスイヤホンなどの小型ウェアラブル端末を駆動することが可能な発電量を生み出す技術への応用が期待される。
