近赤外領域で狭帯蛍光を示す安定なカチオン性分子を開発名古屋大学

 名古屋大学大学院理学研究科とトランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)の研究グループは,新たな分子骨格を用いて凝集することで近赤外領域に狭い蛍光帯を示す,高度に安定化されたカチオン性分子の開発に成功したと発表した。
 800 nmを超える近赤外領域で発光する有機分子の開発は,ヘルスケア用途に応用可能なオプトエレクトロニクス材料や,生命科学研究の基盤技術の蛍光イメージングの進展において強く求められている。しかし,そのような特性をもつ分子の報告例は限られており,新たな分子骨格の設計法の確立が必要とされてきた。
 今回,非ベンゼンノイド芳香族のアズレンの導入と,分子骨格の平面固定化により,高い化学安定性をもつカチオン性分子を作ることに成功した。さらに,この分子が,溶液中で凝集すると近赤外領域に極度に狭い蛍光帯を示すことを見出した。今回の分子設計法は,多彩なカチオン性近赤外発光材料の創出に繋がると期待される。

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