京都大学の研究グループは,円偏光純度と明るさを両立させる「発光式円偏光コンバータ」の作製に成功したと発表した。円偏光とは,光強度(明るさ)や波長(色)に加えて偏光情報(右 or 左巻き)をもつ特徴的な光である。近年は,植物の成長速度や太陽電池の変換効率に対する円偏光照射効果が報告されており,非偏光(太陽光など)から円偏光を生成する技術に関心が集まっている。同グループは,偏光度と明るさの両立が原理的に可能である直線偏光発光(LPL)に着目し,LPLと位相制御を組み合わせた「発光式円偏光コンバータ」を作製することで,既存の方法では困難とされてきた円偏光純度と明るさの両立に成功した。また,LPLフィルムと位相差フィルムの貼合せ角度の調節により,円偏光純度・明るさ・スペクトル形状(色)を変えることなく,偏光(左 or 右)のみを変更できることを実証した。さらに,LPLフィルムの多層化により,既存の円偏光フィルターでは不可能であった,発光機構(光の足し算)を活かした光情報の多重化にも成功した。