花の構造色の発色に関与する因子の絞り込みに成功国立遺伝学研究所,理化学研究所,鳥取大学,基礎生物学研究所
国立遺伝学研究所などのグループは,ギンセンカのゲノムやトランスクリプトームを解析し,構造色発色に必要な微細構造の形成に関わる因子の絞り込みに成功した。 その主な因子はSHINE1(植物のクチクラ形成に関わる転写因子),CUTIN SYNTHASE 2(クチクラ成分の1つ,クチンの合成因子),CYP77Aファミリー遺伝子(クチンの合成因子)。これらの因子はモデル植物「シロイヌナズナ」の花弁に存在する微細構造の形成に関わることが知られ,ギンセンカ花弁の微細構造形成への関与の可能性も高いと考えられる。今後、絞り込んだ候補因子を皮切りに微細構造形成のメカニズムやその進化の解明を目指す。
構造色は,例えばコンパクトディスクの虹色に代表される,物質表面の微細な構造により発色する色。鳥類など生物でも観察される。植物花弁の構造色は昆虫の誘引に寄与すると言われる(Moyroud et al., 2017)。
ギンセンカ(Hibiscus trionum)は、花弁に構造色を持つ。花の中心部は紫色,外側が薄い黄色を示す。紫色はアントシアニンの色素由来だが,花弁の表皮細胞には微細な凹凸構造が存在,角度の変化で色も変わる。