フジタ(藤田嗣治)の肌質感表現の秘密 ~UVで蛍光発光する3種類の白~国立情報学研究所,ポーラ美術館,東京藝術大学,東京大学,京都大学,三木 学
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国立情報学研究所などグループは、藤田嗣治(レオナール・フジタ)の「ベッドの上の裸婦と犬」に、異なる発光色(蛍光)を持つ白い顔料を発見した。
本調査は、対象物の成分情報を非破壊・非接触で得られるハイパースペクトル・カメラと蛍光スペクトルをデジタル上で分離する技術が用いられ、フジタは蛍光発光する顔料の性質を把握し、肌質感の再現のために意図的に異なる顔料を使い分けていた可能性が高いと結論付けた。
フジタが用いた白い顔料の炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウムを調査した結果、炭酸カルシウムは青緑、タルクは緑、硫酸バリウムは赤の蛍光発光が見られた。ルノワールなどの絵との比較から,異なる蛍光発光の白の使用は、肌の表面反射と内部の散乱を描きわけるためで,肌の光学特性を真似た可能性が示唆された。