「準結晶」のファンデルワールス層状物質に超伝導性東京大学,東京理科大学
東京大学などのグループは、結晶、アモルファスとも異なる第3の固体「準結晶*」のタンタル-テルル(Ta-Te)系ファンデルワールス層状物質**が1K以下の温度域で超伝導性を示すことを発見した。
ファンデルワールス層状物質は、新奇デバイス開発への期待から、近年盛んに研究されているが、その研究対象は周期的な原子配列をもつ「結晶」だった。結晶とは異なる原子配列秩序をもつファンデルワールス層状「準結晶」で、超伝導性を示したのは世界初である。これにより、未解明の準結晶超伝導の発現機構の解明、ならびに将来的な新奇デバイスの開発も期待される。
*結晶,アモルファス(非晶質)のどちらとも異なる原子配列秩序をもつ固体で、第3の固体とよばれる。準周期性とよばれる、結晶の周期性とは異なる長距離原子配列秩序と、5回、10回、12回など結晶に許されない回転対称性をもつ。
**二次元単位層が、それと垂直な方向に、弱いファンデルワールス力(分子間力の一種)で結びつき積層した構造をもつ物質