体内の患部近くで,レーザーにより電子線を発生させることに成功量子科学技術研究開発機構,カリフォルニア大学アーバイン校,ウォータールー大学
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量子科学技術研究開発機構などのグループは、細孔が多数開いたガラス板(マイクロチャンネルプレート)へのレーザー光照射により、放射線の一種、高エネルギー電子線の発生を実証した。本技術により、内視鏡型放射線(電子線)発生装置が実現可能であり、被ばく線量を低減し、かつ遮蔽が不要な放射線がん治療技術の確立を目指すことができる。
放射線によるがん治療は、外科的手術より負担が小さく注目されている。現在の放射線照射は身体外部からや、カテーテルなどで放射線源を体内の患部近くに持ち込むなどがあるが、放射線を患部に届けるまでの被ばくは不可避だ。また、加速器運転に伴う放射線発生や放射線源の取り扱いなどの軽便化も必要とされる。
今回、パルスレーザーのマイクロチャンネルプレートへの照射で、がん治療可能な強度の高エネルギー電子線が発生した。光ファイバー先端にマイクロチャンネルプレートを固定した装置を作製、内視鏡と組み合わせれば、体内のがん組織近くで高エネルギー電子線を発生させ、放射線治療ができ,被ばく線量が低減でき、放射線遮蔽設備不要な放射線がん治療技術の確立につながる。