ホタルの発光メカニズムを解明 ルシフェリン分子の構造変化群馬大学,高エネルギー加速器研究機構(KEK),分子科学研究所,静岡大学,名古屋大学
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群馬大学などのグループは、炭素原子のX線吸収の計測および理論計算による分析により、ホタルの発光色に大きく関わるホタルルシフェリンのフェノール性水酸基からの脱プロトン化がpHの変化により生じる様子を明らかにした。
ホタルは基質であるルシフェリンの酵素との化学反応で発光する(ルシフェリン-ルシフェラーゼ反応)。この発光色が溶液のpHや温度などにより変化することは古くから知られているが、発光色が決まる分子的なレベルでのメカニズムは不明であった。
今回、ルシフェリン構造変化のモデルケースであるプロトン脱離に着目し、 X線吸収計測と量子化学計算から、構造変化を反映する炭素原子X線吸収スペクトルを特定し、本研究により元素選択的な新しい視点で発光色変化メカニズムを解明する道が拓かれた。
ルシフェリン-ルシフェラーゼ反応は生体内のガン細胞や薬剤の移動経路調査の画像解析などに利用され、標識材料の開発が進んでいる。この分野の技術開発に貢献する可能性が示唆される。