ラマン分光法と機械技術を応用し、神経細胞の活動を簡単に評価産業技術総合研究所(産総研)
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産業技術総合研究所のグループは、神経細胞の活動を評価できる新しい手法を開発した。従来、神経細胞の活動を評価するには指標となる蛍光プローブを要したが、今回ラマン分光法(後述)と機械学習を応用し、神経細胞の活動を迅速かつ正確に評価するシステムを開発した。
ラマン分光法では対象物にレーザー光を照射した際の散乱光(ラマン散乱光)から対象物の分子情報が得られる。本研究では高速でレーザー光を走査、高感度でラマンスペクトルを取得する技術を開発。レーザー光が対象区間の円内をらせん状にくまなく走査でき、レーザー照射時間を短縮、細胞への熱ダメージを低減し、効率的に細胞全体からのスペクトルを取得できる。このシステムをペイント式ラマン分光システム(PRESS)と名付け実証実験を行ってきた。
このシステムは単一の神経細胞だけでなく、神経細胞が集団で活動する神経核も計測可能。プローブ不要の非侵襲的な神経細胞評価システムは、再生医療や創薬における移植用細胞の品質管理や新薬の効果と毒性評価に貢献し、さらに神経疾患の治療法の開発や神経科学の発展に役立つ。