絶縁体ポリオキソメタレートの半導体化に成功 近赤外光を吸収し、不対電子をもつ新しい分子性導体東京大学,立命館大学
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岐阜大学などのグループは、ポリオキソメタレート(POM)を白金多核錯体*で繋ぎ、電気を流すことに成功した。
POMは高原子価の金属が酸素で連なった多核金属錯体で、固体酸触媒として工業利用される分子。容易に多電子還元する性質があるが、POM自体は絶縁体で電気伝導性が低く電気をほとんど通さない。今回、POMと白金多核錯体を電子的に相互作用させて非局在電子の伝導パスを作ると電気伝導性が向上、導電率10−6 Scm−1の半導体となった。また、近赤外光も強く吸収した。POMは金属種や核数の異なる様々な派生体があり、白金多核錯体の種類も豊富で、組み合わせを変え、多くの類似体が得られるため、バンドギャップ制御、高伝導体、電池や触媒への応用が期待される。
*多核錯体:有機-無機複合分子のことを金属錯体とよび、炭素、窒素、水素等からなる有機物と、それ以外の元素からなる無機物の双方の性質を併せもった化合物。