エネルギー透過には情報が必要  境界面上の物理に迫る九州大学,理化学研究所,カリフォルニア工科大学,東京大学,テキサス大学

     異なる場の量子論をつなぐ境界面は、素粒子論や物性理論の様々な問題に登場する重要な概念だが、境界面があると、エネルギーや情報量の透過率などが問題になり、これらを実際に計算するのは難しい問題であった。
     九州大学などのグループは、2次元の共形場の量子論について、エネルギー透過率、情報量透過率、場の量子論のヒルベルト空間の大きさの指標(高エネルギーでの状態数の増加率)の3つの量に、(エネルギー透過率)≤(情報量透過率)≤(ヒルベルト空間の大きさの指標)の不等式が成り立つことを示した。この不等式は「エネルギーを通すためには情報を通す必要があり、そのいずれもが十分な状態数を必要とする」ことを表し、今回これより強い不等式はないことも示した。
     エネルギー透過率と情報量透過率は、重要だが計算が困難であり、また相関があることは知られていなかった。今回この不等式を示すことで、この重要であるが困難な問題に新しい光を当てた。

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