1原子層膜に旋回する光を当てスピンの揃った電流を生成東京大学
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東京大学の研究グループは、シリコン基板表面上に単一原子層のタリウム-鉛(Tl-Pb)合金膜を作成し、そこに室温で円偏光を照射するとスピンの向きのそろった電流(スピン偏極電流)が流れること、さらに円偏光の旋光性を反転させるとスピン偏極電流の向きが反転することを世界で初めて観測した。この現象は、円偏光フォトガルバニック効果(CPGE)と呼ばれ、ダイオードのように一方向のみに電流を流すような非相反効果の一種である。
本研究で作製した合金膜では、TlとPb原子が規則的に並ぶ。円偏光には右回りと左回りの旋回性があり、それを切り替えると、合金原子層を流れる電流の向きおよびその電子のスピンの向きが反転した。これは、巨大ラシュバ型スピン分裂バンドとスピン・運動量固定という特異な性質に起因する。これは従来、トポロジカル絶縁体などで報告例があったが、本研究では極限まで薄い単原子層でも十分大きな効果として観測されたことが画期的であり、今後、2次元の極微デバイスへの応用につながると期待される。