生きた細胞の膜のナノ形状・流動性を 同時計測可能な光学顕微法を開発大阪大学,埼玉大学,滋賀県立大学

     埼玉大学などのグループは、生きた細胞の膜のナノ形状と流動性を同時可視化する光学顕微法を開発した。これを用いることで、細胞の接着領域と非接着領域の膜流動性が異なることを発見したとともに、この膜流動性の差ががん細胞悪性度の指標となりえることを見出した。
     従来、細胞膜の接着や物性の計測では、膜を複数の蛍光分子でラベル(色付け)することが一般的であった。しかし、蛍光分子が相互に影響することで計測が阻害されること、生きた細胞では膜を複数の蛍光分子での色付けが難しく、また細胞膜に作用する引力の一部(例:静電引力)は蛍光分子での色付けが困難であった。
     今回、光干渉計測と蛍光計測を組み合わせることで、生細胞の膜のナノ形状と流動性を同時計測可能であることを見出した。これにより、細胞膜の接着・変形・流動性の相関が明らかとなり、細胞膜が関わる様々な生命現象(がん転移など)のメカニズム解明に貢献することが期待される。

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