世界に先駆けた,青紫色半導体レーザーの実現名城大学 上山智
- 説明文
- 写真
現在広く普及しているDVDには赤色半導体レーザーが使用されています。DVDには片面で2時間程度の動画像を記録することができます。しかし,近い将来高品位のデジタル放送が本格化してくると,現行のDVDでは容量不足となり20分程度しか録画できなくなってしまいます。したがってその頃には,より大容量の光ディスクシステムが必要となることは間違いありません。既に昨年(2003年),次世代の光ディスクシステムであるBluミrayと呼ばれる規格の光ディスク機器が発売されました。この機器に搭載されているのは窒化物半導体による青紫色半導体レーザーです。波長は約400nmで,赤色半導体レーザーの650nmと比べて大幅に短いため,ディスク上に小さいスポットで集光することができます。このレーザーは次世代の光ディスク装置のキーデバイスと言うことができます。
青紫色半導体レーザーは,既に広く用いられている青色発光ダイオードと同じ窒化物半導体により構成されており,結晶成長技術やプロセス技術に共通点が多くあります。これらの技術の基礎は,1980年代後半から90年代初頭にかけて,名古屋大学の赤K勇教授と,天野浩教授によって確立されました。両氏は89年に世界初のpn接合型青色発光ダイオードを実現し,92年からは名城大学に移籍すると,今度は半導体レーザー実現に軸足を移しました。この頃,かの有名な中村修二氏(当時 日亜化学工業(株) )が赤Kグループの青色発光ダイオードをキャッチアップしようと猛烈に攻勢をかけ始めた時期で,他方ZnSe系青緑色半導体レーザーが発振し,世界中の研究者は短波長半導体レーザーとしてZnSe系に注目していた時期でもありました。
それまでに築いた窒化物半導体結晶技術をベースに,両氏はGaInN多重量子井戸の高品質化に取り組み,95年に3nm程度に薄膜化することで発光効率が3桁も向上することを見出しました。そしてこれを活性層とする青紫色半導体レーザーの開発を進め,同年8月初旬,ついにパスル電流注入による初のレーザー発振を示す波長400nm付近の鋭いスペクトルを観測しました。この写真はその時期に撮影されたものです。当時はプロセス技術が未熟であったため,非常に短時間の発光しか得られず,非常に苦労して撮影されたようです。
本研究成果はすぐに論文に発表されましたが,論文のタイトルが“Stimulated Emission(誘導放出)”だったために,残念ながら窒化物半導体による初の室温パルス発振は,少し後に中村氏が発表した論文と一般に認知されているようです。しかし,赤K,天野両教授のデバイスが世界初の窒化物半導体レーザーであることを,この写真が語っていると思われます。
青紫色半導体レーザーは,既に広く用いられている青色発光ダイオードと同じ窒化物半導体により構成されており,結晶成長技術やプロセス技術に共通点が多くあります。これらの技術の基礎は,1980年代後半から90年代初頭にかけて,名古屋大学の赤K勇教授と,天野浩教授によって確立されました。両氏は89年に世界初のpn接合型青色発光ダイオードを実現し,92年からは名城大学に移籍すると,今度は半導体レーザー実現に軸足を移しました。この頃,かの有名な中村修二氏(当時 日亜化学工業(株) )が赤Kグループの青色発光ダイオードをキャッチアップしようと猛烈に攻勢をかけ始めた時期で,他方ZnSe系青緑色半導体レーザーが発振し,世界中の研究者は短波長半導体レーザーとしてZnSe系に注目していた時期でもありました。
それまでに築いた窒化物半導体結晶技術をベースに,両氏はGaInN多重量子井戸の高品質化に取り組み,95年に3nm程度に薄膜化することで発光効率が3桁も向上することを見出しました。そしてこれを活性層とする青紫色半導体レーザーの開発を進め,同年8月初旬,ついにパスル電流注入による初のレーザー発振を示す波長400nm付近の鋭いスペクトルを観測しました。この写真はその時期に撮影されたものです。当時はプロセス技術が未熟であったため,非常に短時間の発光しか得られず,非常に苦労して撮影されたようです。
本研究成果はすぐに論文に発表されましたが,論文のタイトルが“Stimulated Emission(誘導放出)”だったために,残念ながら窒化物半導体による初の室温パルス発振は,少し後に中村氏が発表した論文と一般に認知されているようです。しかし,赤K,天野両教授のデバイスが世界初の窒化物半導体レーザーであることを,この写真が語っていると思われます。