虹の記憶シチズン時計(株) 橋本信幸
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このところ雨上がりの空をゆっくり見る機会が少なくなったせいか虹を見た記憶がない。子供の頃は割と頻繁に見たと思うのだが都市近郊の気象条件が変わったのだろうか。久しぶりに見たこの虹は主虹の上に珍しい副虹が見えている。また上の写真をよく見ると主虹の上に白虹らしきものも見えている。話にはきいていたが(だいぶ前に光の鉛筆で副虹のことが書かれていたと思う)見たのは初めてだ。副虹の特徴で色の順が主虹と逆になっているのがわかる。O plus E の読者の方なら説明すべくもないが,虹は水滴と空気の間で光が屈折する際の色分散現象である。このとき普通は水滴中で一回反射するが二回反射して屈折の方向が反対になると色順が逆になった副虹が生じる。虹の見える方位だが,太陽を背にして自分との延長線を結びそこから42 度の円弧方向(水の屈折率を1.33とし波動性は無視した場合)に主虹が,51度の方向に副虹が見える。これは太陽から水滴に多数の平行光線が入射し反射屈折して出射する方向が入射高さに応じて変化する。このとき42 度の方向が最小偏角となり入射高さの変化に対する屈折角の変化が最も小さくなり明るい帯が見える。副虹はこの偏角が51 度になっている。また水滴内では全反射ではないため副虹はかなり暗くなり普通は気が付かない。よく見ると主虹と副虹の間がやや薄暗くなっているのがわかるだろうか。これはアレキサンダーの暗帯といわれ最小偏角を過ぎると変化率の符号が逆転し光束密度が減ることに起因している。
実はこの虹を見たのは日本ではない。去る1月14日からサンノゼで開催されたElectronic Imaging の会議後,SPIE までの合間にワインで有名なナパバレーに行く途中Vallejo という町で見た。その日は天気雨が続き,夕方コンビニに寄ったら雲が切れて目前に巨大な虹が現れた。ほんの5 分程度で消えてしまい残念ながら電線の向こうまでは行けなかった。
ところで会議であるが主にStereoscopic とホログラフィー,そして液晶のセッションを中心に参加していたが,今年も展示会を含めたいへんな賑わいであった。3D のセッションでは特に目新しい手法やアイデアは発表されていなかったようだが,近年の大画面高画素数化をベースに多視差で解像度もそこそこのディスプレイが多く発表されていた。これらは比較的プラクティカルな技術の積み上げであるため実用に近いものに感じられた。またホログラフィーのセッションではエレクトロホログラフィーに関連する発表は根強く,国内からも関西大学,湘南工科大学,日本大学等多数の発表があった。また日本女子大学や北海道大学の学生達は成田空港の積雪による混乱のなか,1 ~ 2 日遅れの到着で発表日を繰り下げての発表となり一足先にサンノゼにいた私はチェアとの日程調整も行うことになった。今年は「ホログラフィーでビジネスは可能か」というセッションが設けられ,ホログラムメモリーが話題となっていた。最近はホログラフィーでビジネスをしていない会社からの特許が多く見受けられ,それらのほとんどはホロメモリに関連する材料特許であるとの調査報告が示されていた。MIT のベントン教授が亡くなられた後は今ひとつ盛り上がりにかけ,今年は恒例のホログラフィー展示も開催されなかった。しかし日本びいきだったベントン教授がホログラフィー関係の人々を集めて毎年開催していた寿司スキャンダル(パーティだがなぜかスキャンダルといっていた)は引き継がれていて今年もサンノゼ日本人街の寿司屋で日本,メキシコ,米国,ドイツ,イギリス,ウクライナ,カナダ等30 名くらいが参加して国を越えて盛り上がった。
液晶に目を移すとSPIE ではSID などとは多少毛色が異なり,ディスプレイ色はあまり強くなく,光学素子応用やLCOS 等の空間変調素子に関連する発表が多い。したがってセッションチェアをはじめとしてホログラフィーと掛け持つ人も多く,数年前から会場も隣同士になっている。近年の傾向では米国での液晶プロジェクションTV の人気からかLCOS に関連する発表が割と多い。もちろんこれらは今後のアクティブ光学素子やエレクトロホログラフィーの要素デバイスとして重要であることは言うまでもない。
ところで話を虹にもどすと今回見た虹は地上端まではっきりと見えていた。伝説によればそこには財宝が埋まっているはずだが残念ながら確かめる暇は無かった。普通は障害物や地上付近は浮遊水滴が少ないこともあり上半分くらいしか見られない。そういえば最近虹を見た記憶がないのは高い建物に埋もれて生活することが多くなってしまったからかもしれない。あの虹を見て以来自然の光学現象の神秘に想像を巡らす日が続いている。
実はこの虹を見たのは日本ではない。去る1月14日からサンノゼで開催されたElectronic Imaging の会議後,SPIE までの合間にワインで有名なナパバレーに行く途中Vallejo という町で見た。その日は天気雨が続き,夕方コンビニに寄ったら雲が切れて目前に巨大な虹が現れた。ほんの5 分程度で消えてしまい残念ながら電線の向こうまでは行けなかった。
ところで会議であるが主にStereoscopic とホログラフィー,そして液晶のセッションを中心に参加していたが,今年も展示会を含めたいへんな賑わいであった。3D のセッションでは特に目新しい手法やアイデアは発表されていなかったようだが,近年の大画面高画素数化をベースに多視差で解像度もそこそこのディスプレイが多く発表されていた。これらは比較的プラクティカルな技術の積み上げであるため実用に近いものに感じられた。またホログラフィーのセッションではエレクトロホログラフィーに関連する発表は根強く,国内からも関西大学,湘南工科大学,日本大学等多数の発表があった。また日本女子大学や北海道大学の学生達は成田空港の積雪による混乱のなか,1 ~ 2 日遅れの到着で発表日を繰り下げての発表となり一足先にサンノゼにいた私はチェアとの日程調整も行うことになった。今年は「ホログラフィーでビジネスは可能か」というセッションが設けられ,ホログラムメモリーが話題となっていた。最近はホログラフィーでビジネスをしていない会社からの特許が多く見受けられ,それらのほとんどはホロメモリに関連する材料特許であるとの調査報告が示されていた。MIT のベントン教授が亡くなられた後は今ひとつ盛り上がりにかけ,今年は恒例のホログラフィー展示も開催されなかった。しかし日本びいきだったベントン教授がホログラフィー関係の人々を集めて毎年開催していた寿司スキャンダル(パーティだがなぜかスキャンダルといっていた)は引き継がれていて今年もサンノゼ日本人街の寿司屋で日本,メキシコ,米国,ドイツ,イギリス,ウクライナ,カナダ等30 名くらいが参加して国を越えて盛り上がった。
液晶に目を移すとSPIE ではSID などとは多少毛色が異なり,ディスプレイ色はあまり強くなく,光学素子応用やLCOS 等の空間変調素子に関連する発表が多い。したがってセッションチェアをはじめとしてホログラフィーと掛け持つ人も多く,数年前から会場も隣同士になっている。近年の傾向では米国での液晶プロジェクションTV の人気からかLCOS に関連する発表が割と多い。もちろんこれらは今後のアクティブ光学素子やエレクトロホログラフィーの要素デバイスとして重要であることは言うまでもない。
ところで話を虹にもどすと今回見た虹は地上端まではっきりと見えていた。伝説によればそこには財宝が埋まっているはずだが残念ながら確かめる暇は無かった。普通は障害物や地上付近は浮遊水滴が少ないこともあり上半分くらいしか見られない。そういえば最近虹を見た記憶がないのは高い建物に埋もれて生活することが多くなってしまったからかもしれない。あの虹を見て以来自然の光学現象の神秘に想像を巡らす日が続いている。