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可視~赤外域における光の情報を利用するリモートセンシングによる資源探査石油天然ガス・金属鉱物資源機構 矢島太郎

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 今日では人工衛星等に搭載されたセンサーが取得したリモートセンシングデータを用いた資源探査が一般的に行われている。資源探査では鉱物や地質の識別を行うことで資源が存在する場所を推定する。太陽の地表反射光を観測する「光学センサー」で得られたリモートセンシングデータは地表の鉱物や地質の識別が可能なため,資源探査において多く利用されている。
 太陽光は紫外線~可視光線~赤外線といった各種の波長の光から構成されている。人間の目が感知できる色調は可視光域の光であるが,光の中ではごく狭い領域である。資源探査には,可視光域だけでなく,人間の目では見えない可視光域よりも波長の長い赤外域で得られる情報を多用する。赤外域には地質や鉱物の特徴が明確に表れるからである。
 岩石は細かな鉱物から構成されており,鉱物の中では元素や分子が格子状に規則正しく配列している。鉱物中の元素や分子は伸縮運動等を行っており,特定の波長の光を吸収する。岩石や鉱物はそれぞれ異なる波長の光を吸収し,特に赤外域において極めて特徴的な吸収スペクトルを示す(図1)。
 日本の経済産業省が開発したASTERセンサーは,可視光域とともに赤外域における画像データを取得しており,特に資源探査で重要な粘土鉱物を識別するために重要な波長域に複数の検出器を有している。金属鉱床は高温の熱水により形成され,熱水は金属を運び,沈殿させて鉱床を形成する過程で周囲の岩石を粘土化させる。リモートセンシングでは金属鉱床そのものを探査するのではなく,鉱床に伴われる粘土化変質帯を資源探査の重要な指標としている。
 ASTERデータを用いて人間の目で見える色調を再現することも可能であるが(図2),ASTERの赤外域データ中には,地質や鉱物に関する情報が多く含まれる。ASTERの赤外域画像中では熱水が形成した粘土化変質帯がピンク色と緑色で明示される(図3)。赤外域画像に対してさらに比演算解析1)を行うことにより,熱水から形成された粘土鉱物の種類が識別される(図4)。比演算画像中の赤色~黄色を示す部分は高温で形成された粘土鉱物の分布を示し,金属鉱床が地下で形成されている可能性が高い。しかし,金属を伴わない熱水変質帯の方が数としては多いため,資源探査は難しいのである。リモートセンシングの後は,地質専門家が現場で活躍することとなる。

参考文献

  1. 矢島太郎,山本邦仁,山本和広,林歳彦:“ポーフィリーカッパー鉱床探査のためのASTERデータによる熱水変質帯識別”,日本リモートセンシング学会誌,Vol. 27,No. 2,pp. 117 ~ 128 (2007)

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