Noncontact Crucible(NOC)法による直径比の大きな大口径シリコンインゴット単結晶の成長技術と新しい展開分野FUTURE-PV Innovation JST郡山サイト 中嶋 一雄
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1.本成長法の原理
我々は太陽電池用の大口径・高品質シリコンインゴット単結晶の新しい発想の成長技術として,Noncontact Crucible(NOC)Methodを提唱してきた1),2)。図1に,本成長法の特徴を現す,小さいルツボ(50cm径)で大きなインゴット径(45cm径)を有するシリコンインゴット単結晶を成長した写真を示す。直径比は0.9で,ルツボ壁に触れることが無く,このような直径比で大口径インゴット単結晶が容易に得られるのが,本成長法の特徴の一つであり,キャスト成長法にもCzochralski(CZ)成長法にも適用できる。
本成長法では,図2に示したように,まず離型剤の塗って無いルツボに入れたシリコン融液内に大きな低温領域を作る。この低温領域はシリコン融液の上部から底部にかけて広く大きく作られる。この作成法がノウハウとなっている。
2.本成長法のメリット
本成長法のメリットは;
1)直径比を0.9と極端に大きくできる。このため,小さなルツボを用いて大口径のインゴット単結晶を成長できる。キャスト成長法としては,68cm径まで大口径にすると,歩留まりが従来法に比べて飛躍的に向上する。また,CZ成長法としては,45cm径以上の大口径のインゴット単結晶を引き上げ成長できるため,太陽電池用ウェハーを4枚取りできるようになり生産効率の大幅アップとなる。
2)酸素濃度は常に5×1017cm-3前後になっており,CZ成長法とMCZ成長法の間にある。炭素濃度の低く5×1017cm-3前後になっている。金属不純物は離型剤を使わないため,検知できない濃度まで下がっている。ライフタイムは,4.9cm2の測定面積で,1×1015cm-3のインジェクションレベルにおいて,Pゲッタリングの前後でそれぞれ768μs と3.2msとなる2)。
3)成長界面が成長方向に対して凸形をしているため,転位が成長するにつれて結晶の外へ抜け,ネッキング無でも103-104cm-2のオーダとなる。
4)太陽電池特性は,n型ウェハーで,CZウェハーで20%の特性を出せるセル構造とプロセスを用いて,最高値が19.6%となり平均値が18.9%となった。p型ウェハーで,CZウェハーで19%の特性を出せるセル構造とプロセスを用いて,最高値が18.8%となり,全てのウェハーの変換効率が18.2%以上となった。極めて高い歩留まりが得られる。
3.本成長法の有効な適応技術
本成長法は,大きなブレークスルー技術を提供できる。それらを簡潔にまとめた図を図3として示す。
1)大口径・大容量にするほどキャスト成長法としての歩留まりが高くなる。例えば,68cm径のインゴット単結晶を成長すると,18.1%以上の変換効率の太陽電池の歩留まりは,通常のキャスト成長法では10%程度であるが,本成長法では63%となる。
2)無転位化には,図4に示すように,種結晶と浮力防止の重り結晶を成長初期のみだけCZ成長モードで成長し,その後NOCモードでインゴット単結晶を成長すれば,ネッキング技術を本成長法にも適用できる。
謝辞
本研究はJST FUTURE-PV Innovationプロジェクトの支援により行われた。
参考文献
1)K. Nakajima et al, J. Crystal Growth, 344, 6-11(2012).
2)K K. Nakajima et al, Jpn. J. Appl. Phys., 54, 015504-1-015504-7(2015).
我々は太陽電池用の大口径・高品質シリコンインゴット単結晶の新しい発想の成長技術として,Noncontact Crucible(NOC)Methodを提唱してきた1),2)。図1に,本成長法の特徴を現す,小さいルツボ(50cm径)で大きなインゴット径(45cm径)を有するシリコンインゴット単結晶を成長した写真を示す。直径比は0.9で,ルツボ壁に触れることが無く,このような直径比で大口径インゴット単結晶が容易に得られるのが,本成長法の特徴の一つであり,キャスト成長法にもCzochralski(CZ)成長法にも適用できる。
本成長法では,図2に示したように,まず離型剤の塗って無いルツボに入れたシリコン融液内に大きな低温領域を作る。この低温領域はシリコン融液の上部から底部にかけて広く大きく作られる。この作成法がノウハウとなっている。
2.本成長法のメリット
本成長法のメリットは;
1)直径比を0.9と極端に大きくできる。このため,小さなルツボを用いて大口径のインゴット単結晶を成長できる。キャスト成長法としては,68cm径まで大口径にすると,歩留まりが従来法に比べて飛躍的に向上する。また,CZ成長法としては,45cm径以上の大口径のインゴット単結晶を引き上げ成長できるため,太陽電池用ウェハーを4枚取りできるようになり生産効率の大幅アップとなる。
2)酸素濃度は常に5×1017cm-3前後になっており,CZ成長法とMCZ成長法の間にある。炭素濃度の低く5×1017cm-3前後になっている。金属不純物は離型剤を使わないため,検知できない濃度まで下がっている。ライフタイムは,4.9cm2の測定面積で,1×1015cm-3のインジェクションレベルにおいて,Pゲッタリングの前後でそれぞれ768μs と3.2msとなる2)。
3)成長界面が成長方向に対して凸形をしているため,転位が成長するにつれて結晶の外へ抜け,ネッキング無でも103-104cm-2のオーダとなる。
4)太陽電池特性は,n型ウェハーで,CZウェハーで20%の特性を出せるセル構造とプロセスを用いて,最高値が19.6%となり平均値が18.9%となった。p型ウェハーで,CZウェハーで19%の特性を出せるセル構造とプロセスを用いて,最高値が18.8%となり,全てのウェハーの変換効率が18.2%以上となった。極めて高い歩留まりが得られる。
3.本成長法の有効な適応技術
本成長法は,大きなブレークスルー技術を提供できる。それらを簡潔にまとめた図を図3として示す。
1)大口径・大容量にするほどキャスト成長法としての歩留まりが高くなる。例えば,68cm径のインゴット単結晶を成長すると,18.1%以上の変換効率の太陽電池の歩留まりは,通常のキャスト成長法では10%程度であるが,本成長法では63%となる。
2)無転位化には,図4に示すように,種結晶と浮力防止の重り結晶を成長初期のみだけCZ成長モードで成長し,その後NOCモードでインゴット単結晶を成長すれば,ネッキング技術を本成長法にも適用できる。
謝辞
本研究はJST FUTURE-PV Innovationプロジェクトの支援により行われた。
参考文献
1)K. Nakajima et al, J. Crystal Growth, 344, 6-11(2012).
2)K K. Nakajima et al, Jpn. J. Appl. Phys., 54, 015504-1-015504-7(2015).