ハイスピードカメラで捉えたガラスのヒビ彫刻家 大成 哲
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ガラスに入るヒビをカメラで捉える(図1)。簡単なようで難しいこの実験に私たちは挑戦した。
私,大成哲は,芸術の都・チェコのプラハを活動拠点とし,中欧や東欧地域で活動を行っている彫刻家である。ガラス板を使った作品制作に取りかかってから10年ほどが経ち,今回「ガラス板に入るヒビの魅力」をテーマに,さらに新しい美学や視覚,意味を見出そうと試みた。
私たちが注目したのは,ガラスが割れる様子ではなく,ガラスのヒビが広がる様子である。ヒビは音速よりも早い速度で広がるため,本当にカメラで捉えることができるかは,実験するまでわからない。一般的なカメラでの撮影は難しいため,株式会社フォトロン様のご協力で,ハイスピードカメラFASTCAM Novaを使用し,ヒビが入る一瞬の様子を捉えようと考えた。FASTCAM Novaは120×120×217.2 mm,質量3.3 kgという小型軽量密閉筐体でありながら,モノクロISO 64,000/カラーISO 16,000という超高感度を実現しており,最高100万コマ/秒での撮影が可能な高速度カメラである(図2)。
この画期的な実験は日本大学藝術学部の写真スタジオで行われ,結果的にたいへん興味深い映像を撮ることに成功した。ヒビが円を画いて広がっていく様子は,まるでビッグバンや花火のエネルギーが,波動のように外に放出されていくようである。普通,ガラスのヒビにはネガティブなイメージをもってしまうものだが,それは禅の精神さえ感じるほどに美しく,今までに見たことのない新たな神秘性を感じた。破壊と誕生を同時に感じられるこの映像を,是非ご覧いただきたい(https://youtu.be/1S05VK5F4ek)。
今回の発見は,1つの芸術作品を制作する過程で生まれたものである。本来なら,そこに社会的な意義や科学技術への応用などが求められるべきなのかもしれない。しかし,作品を鑑賞される方に日常生活では生まれないような新たな気づきを提供し,間接的な形で皆様の活動に貢献できれば,アートのもつ役割は果たされたと言えるのではないだろうか。
私,大成哲は,芸術の都・チェコのプラハを活動拠点とし,中欧や東欧地域で活動を行っている彫刻家である。ガラス板を使った作品制作に取りかかってから10年ほどが経ち,今回「ガラス板に入るヒビの魅力」をテーマに,さらに新しい美学や視覚,意味を見出そうと試みた。
私たちが注目したのは,ガラスが割れる様子ではなく,ガラスのヒビが広がる様子である。ヒビは音速よりも早い速度で広がるため,本当にカメラで捉えることができるかは,実験するまでわからない。一般的なカメラでの撮影は難しいため,株式会社フォトロン様のご協力で,ハイスピードカメラFASTCAM Novaを使用し,ヒビが入る一瞬の様子を捉えようと考えた。FASTCAM Novaは120×120×217.2 mm,質量3.3 kgという小型軽量密閉筐体でありながら,モノクロISO 64,000/カラーISO 16,000という超高感度を実現しており,最高100万コマ/秒での撮影が可能な高速度カメラである(図2)。
この画期的な実験は日本大学藝術学部の写真スタジオで行われ,結果的にたいへん興味深い映像を撮ることに成功した。ヒビが円を画いて広がっていく様子は,まるでビッグバンや花火のエネルギーが,波動のように外に放出されていくようである。普通,ガラスのヒビにはネガティブなイメージをもってしまうものだが,それは禅の精神さえ感じるほどに美しく,今までに見たことのない新たな神秘性を感じた。破壊と誕生を同時に感じられるこの映像を,是非ご覧いただきたい(https://youtu.be/1S05VK5F4ek)。
今回の発見は,1つの芸術作品を制作する過程で生まれたものである。本来なら,そこに社会的な意義や科学技術への応用などが求められるべきなのかもしれない。しかし,作品を鑑賞される方に日常生活では生まれないような新たな気づきを提供し,間接的な形で皆様の活動に貢献できれば,アートのもつ役割は果たされたと言えるのではないだろうか。