つぶれそうでも取り乱さずに冷静になること株式会社光コム 代表取締役 会長 興梠 元伸
最初から完璧なものを目指す
聞き手:研究開発において求められた成果が出ないときのエピソードと,どうやって乗り越えていったかを教えて下さい。興梠:うまくはいかないものが多いですね。例えば生体応用は,だめになりましたね(笑)。これは一種のOCTでしたが,原理的に問題がありまして,どうにも雑音が消せませんでした。ただこの分野は問題解決ができたとしてもライバルも多いので,価格とかそのほかの面で必ずしも発展していったかというと疑問がありますね。
あとは,自分の研究の重要性に気づいてなかったことが一番かもしれないですね。もう少し前面に出して,戦略を立てて動いていれば,違った話になっていたかもしれません。非常にのんびりしてましたから。多分僕は論文では出してないと思うんです。何かの本に一部書いた気もするんですが……忘れちゃった(笑)。 あとは絶対実現させるんだと,お金を集めてれば話は違ったかもしれないですね。でも僕も研究者になるつもりがなかったので。
あとは,もしかしたら問題になるかもと思ったところは,絶対に問題になるから後回しにしないことです。薄々でも思っていると絶対問題になります。だからそういう部分を最初から対処していく。もしかしたら大丈夫かもしれないなんて楽観的なこと思っちゃだめなんです。結局後で全部直すことになるから,最初から完璧なものを目指さないとだめなんだと思います。 <次ページへ続く>
興梠元伸(こうろぎ・もとのぶ)
1966年滋賀県生まれ。1987年静岡大学工学部光電機械工学科卒。1987年東京工業大学大学院総合理工学研究科物理情報博士課程入学。2007年株式会社光コム代表取締役社長に就任。2010年株式会社光コム 代表取締役会長に就任。●研究分野 光通信,光デバイス
●業績・受賞等 2008年井上春成賞