苦労して,問題に真面目に向き合って解決した人たちというのは強くなる東京工業大学栄誉教授 末松 安晴
学生にはまず技術的な分野でイニシアチブをとっていってほしい
聞き手:これからの研究者や学生に必要なことは何でしょうか?末松:技術的な分野でイニシアチブをとっていく。そのためには,やはり新しいことに気付いて最初にやらなければ駄目です。
次に,未来社会に埋め込まれるための新しい技術システムを考えて,それを実現することです。そこに必要不可欠なのは何だ,何があればそれができるんだと考えてほしい。その中核的技術を周りをよく見て研究するというような,そういうことをぜひやってもらいたいです。
私の場合はレーザーですが,それは光通信,つまり大容量長距離光ファイバー通信を頭に置いて,そこで問題になってくる光源というものを詰めていくことでした。
それから,研究費を獲得することにも非常に注意しなければいけない。アイデアだけでは研究はできないので,研究費の獲得が必須なわけです。そのためにはやはり訴えかけないと駄目ですし,訴えかける以上は,自分が責任を持つことが必要です。黙ってやっていて「素晴らしい研究をしているのに,どうしてみんなは」というのでは駄目です。自分で働きかけて,研究費の都合を付ける。もし国の科研費が駄目でも,周りには援助してくれる方もたくさんおられますから,そういう支援者を見つけることも,重要だと思います。 <次ページへ続く>
末松 安晴(すえまつ・やすはる)
1932年 岐阜県生まれ 1951年 岐阜県立中津高校卒業 1955年 東京工業大学理工学部電気工学コ?ス卒業 1960年 東京工業大学大学院理工学研究科修了(工学博士) 1960年 東京工業大学理工学部電気工学科助手 1961年 東京工業大学理工学部電気工学科助教授 1967年-1968年 オハイオ州立大学 文部省在外研究員 1973年 東京工業大学工学部電子物理工学科教授 1989年 東京工業大学学長に就任 1997年-2001年 高知工科大学学長に就任 2001年-2005年 国立情報学研究所所長に就任 2010年 高柳健次郎財団理事長 2011年 東京工業大学栄誉教授●研究分野
光通信技術,レーザーデバイス
●主な受賞歴等
1983年 ワルデマー・ポールセン金メダル 1983年 コミュニケーション功労者内閣総理大臣表彰 1986年 デビット・サーノフ賞 1989年 東レ科学技術賞 1994年 ジョン・チンダル賞 1994年 C&C賞 C&C財団 1994年 放送文化賞(日本放送協会) 1996年 紫綬褒章 1997年 エドワード・ライン賞 2003年 IEEEメダル(ジェームス・マリガンJr. エヂュケーション) 2003年 文化功労者 2006年 瑞宝重光章 2014年 日本国際賞