技術力とは,欲しいと言っている人がいたら,それを作ってあげることアストロデザイン株式会社 鈴木 茂昭
新しいことにチャレンジしたいと思うことが大事
聞き手:若手の技術者や学生に向けて,メッセージをお願いします。鈴木:大事なのは,何かにチャレンジしたいとか,新しいことをやるのが楽しいと思うことです。これからはこれが有望だからやりましょうというのは,たぶん本物ではないと思います。本当のエンジニアというのは,もちろん飯を食うためもありますが,それよりも,自分がそれをやりたいかどうかが原点なのです。そのテーマが何かは,その時によって変わることですし,その人の思考によっても変わることなのではないでしょうか。
何か新しいテーマがあったら,やりたいかどうかです。誰も必要としないものを作って世界一といっても意味がないでしょう。必要とされるものがあるのに誰も作っていないとき,それを作ってあげるのが技術力だと思うのです。
原点は新技術に挑戦することが楽しい,面白いと感じられるかどうかだと思います。
好きでもなく面白くもない仕事を,新技術の開発担当者として任されては,まともな製品を作ることはできません。好きでなかったらやるべきではないと申し上げたいですね。
聞き手:好きなものが見つけられない人というのは,どうしたらいいのでしょうか。
鈴木:よくそういう質問があります。これから自分探しの旅に出ますとか言う人は,あんまり将来がないと思います。自分の興味あることというのは,自分自身でなければわからないです。でも,それを,自分が見えないと悩んでいるわけでしょう。それは自分が見えないのではなくて,自分が何か新しいことに近寄っていく行動を起こしていないだけです。面白いかどうかも,やらなければわからないです。ですから,まずやってみることです。
鈴木 茂昭(すずき・しげあき)
1945年 愛媛県松山市生まれ 1967年 東京電機大学卒業 同年 リーダー電子株式会社入社 1972年 同社退社 同年 インターニックス株式会社入社 1977年 同社退社 同年 アストロデザイン株式会社創立 1979年 プログラマブルビデオ信号発生器を開発 1995年 世界初のHDTV用デジタルクロマキー装置を開発・販売。