セミナーレポート
ロボットに使える最新画像処理技術 ~物体認識のための画像局所特微量~中部大学 藤吉 弘亘
本記事は、画像センシング展2010にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。
第2世代のHOG特徴量
ここで,第2世代のHOG特徴量を紹介します。ここでは人を検出するという問題を考えてみたいと思います。顔検出によく使われるHaar-like特徴では,ある領域とある領域の明暗差を特徴量としています。しかし,残念ながら人の検出では,服や背景の色がいつも同じではないので,Haar-like特徴を使えません。また,人の形状は,手足の動きや姿勢などの見えの変化が激しいという問題もあります。このような局所的な変化を吸収するように,できるだけ共通した情報を抽出する特徴量としてHOGというアプローチが提案されました。 HOGは,2006年にフランスの研究所INRIAで提案されました。画像をセルという領域に区切り,このセルの中における勾配方向ヒストグラムを算出する方法です。局所的な形状変化や照明変動に頑健な特徴量になります。学習では,まず学習画像として人が写っている画像を切り出して用意します[図7(a)]。人以外の画像もネガティブデータとして用意しておきます。これらの画像からHOG特徴量を算出して,ある局所領域における特徴量から,「人らしいか人らしくないか」を評価します。すべての領域に対してこの評価を行い,一番評価値がよかったものをアダブーストの最初の弱識別器として採用します。次に,うまくいかなかった学習サンプルをうまく識別できるように特徴量を再度評価し,選択されたものが2 つ目の弱識別器の特徴量になります。これを十分な識別精度が得られるまで繰り返します。

(b) Joint HOG特徴による人検出 図7 HOG特徴量とアダブーストを組み合わせる
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中部大学 藤吉 弘亘
1997年,中部大学 大学院博士後期課程修了。1997年~2000年,米カーネギーメロン大学ロボット工学研究所Postdoctoral Fellow。
2000年より中部大学講師。
2004年,同大准教授。2006年,米カーネギーメロン大学ロボット工学研究所客員研究員。