セミナーレポート

人と人の共感・連携を促しチームパフォーマンスを高める “Sensing & Control+Think”技術 -オムロンが描く「人と機械の融和」の一形態について-オムロン(株) 技術・知財本部 ロボティクスR&Dセンタ 水山 遼

本記事は、画像センシング展2022にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

>> OplusE 2022年9・10月号(第487号)記事掲載 <<


卓球ロボット開発の目的

 オムロンが卓球ロボットを開発している主な目的は2つあります。1つめは,オムロンのコア技術「Sensing & Control +Think」を体現すること。2つめは,オムロンが目指す「人と機械の融和」を世界に訴求し,具現化していくことにあります。
 オムロンはFAやヘルスケア,ソーシャルソリューション,エネルギーマネジメントなど,さまざまな事業を行っており,多様でリアルな現場課題の解決を目指しています。その際重要となるのが,温度や力,画像,光といった現場の多様なデータを取得するSensing技術です。さらに,得られたデータに基づき,位置や力の向きなど現場に適切なフィードバックを行うControl技術。そして,Sensingした現場データから現場に適切なソリューションとして提供するため,人の知見を加える+Think技術に注力しています。このSensing,Control,+Thinkを三位一体として,当社のコア技術に位置づけています。
 具体例として,現場熟練者のノウハウを取り入れたFA用AIコントローラが挙げられます。このコントローラは,Sensingしたデータから機械の“いつもと違う”動きを検出します。それに基づき故障予知や予防保全を行い,適切なControlの方式に変更することで,現場の生産性を維持します。
 このようなSensing & Control +Think技術を実際に体験していただく場面として,卓球は非常に優れたアプリケーションとなります。卓球は100 m走をしながらチェスをするようなものと形容され,素早い状況把握のみならず戦略的な思考や体の精密な制御が必要とされます。卓球ロボットは,高速で移動するボールをSensingして,打球方法を計画し,ロボットの複数軸の調整制御を行っています。まさに,非常に高度なSensing & Control +Think技術が活かされているのです。

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オムロン(株) 技術・知財本部 ロボティクスR&Dセンタ 水山 遼

2014年 大阪大学理学部生物科学科卒業
2016年 大阪大学大学院生命機能研究科 博士前期課程修了
2018-2019年 日本学術振興会 特別研究員
2019年 オムロン株式会社 技術・知財本部 ロボティクスR&Dセンタ(現職)

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