セミナーレポート

知能ロボットのための画像センシング技術の基礎と研究事例中京大学 工学部 教授・ヒューマンロボティクス研究 センター長 橋本 学

本記事は、画像センシング展2022にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

>> OplusE 2022年11・12月号(第488号)記事掲載 <<


ロボットタスク・ロボットビジョンの課題整理

 ロボットビジョンの基本課題を,生産,物流,家庭という3つの分野から考えます。生産分野では,「製造物を認識する」というタスクがあります。それが配送センターのような物流分野に移ると,「商品の認識」に変わります。さらに,将来的に1家庭に1台のロボットという時代になると,それは「日用品の認識」というタスクになります。
 この3つの分野では,ロボットの課題やタスクは若干異なります。生産と物流では,Pick and Place,すなわち,ロボットが物を持ち上げて置くというタスクが主流になります。一方,家庭では,持ち上げたものを置くのではなく,Pick and Operation,つまり対象物を道具として使っていくことになります。また,ロボットの動作パターンも,生産分野,物流分野では,あらかじめ生成していたパターンを再現することが主流ですが,家庭では動作パターンの数が多く,その場で生成するという臨機応変な動作生成が必要になってきます。さらに,ロボットビジョンというセンシングの観点からみると,生産・物流においては,物体のモデルを利用することが容易であり,対象物の品種が複数あるといえども,ほぼ既知であると言えます。一方,家庭においては,当然ながら物体のモデルを利用するのは難しく,品種も多量で未知になるという違いが生じてきます。
 このように,ロボットビジョンには様々な異なるタスクが存在しますが,課題としては共通点も多く,対象物が「どこにあるか?」,「何であるか?」は基本的な共通課題であると言えます。したがって,これらを効果的に実現できる手法の開発が重要になってきます。

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中京大学 工学部 教授・ヒューマンロボティクス研究 センター長 橋本 学

1987年 大阪大学 大学院 工学研究科修了。同年三菱電機(株)入社。生産技術研究所,先端技術総合研究所などにてロボットビジョン,知能ロボティクス,ヒューマン認識の研究開発に従事。2008年 中京大学 情報理工学部(現・工学部)教授。2017年より同大学工学部長,2021年より副学長,工学研究科長,ヒューマンロボティクス研究センター長。産業技術総合研究所 人工知能研究センター客員研究員,関西学院大学感性価値創造インスティテュート客員教授兼務。
1998年度日本ロボット学会実用化技術賞,2012/2017年度画像センシングシンポジウム優秀学術賞,2015年度精密工学会小田原賞,2018年度日本マテリアルハンドリング大賞技術賞,2019/2021年度IWAIT Best Paper Award等受賞。博士(工学)。

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