セミナーレポート
3次元測定システムの精度評価および不確かさ評価東京大学 名誉教授 高増 潔
本記事は、国際画像機器展2021にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。
非接触CMMの例
最後に,非接触CMMの例をご紹介します。画像プロービングシステム付き座標計測機は,カメラを3次元測定機のXYXに載せて,カメラで測定するものです。この受入検査については,JIS B7440-7が対応しています。画像3次元測定機の長さ測定誤差は,スケールを様々な方向においてスケールの間隔を測定することによって評価します。また,プローブ誤差については,円形の基準を測り,評価をします。測り方はいろいろあります。1つの画面内で測るやり方や,画面を動かしながら測るやり方があり,画面プローブの移動を伴う場合も,画面内での測定も,円の寸法や形状によって誤差を評価することになります。JIS B7440-8は,光学式距離センサー付き座標測定機です。これは,点測定センサー,線測定センサー(ラインスキャン),面測定センサー(縞投影)などの光学式距離センサーを3次元測定機に搭載したシステムの受入検査です。プロービング形状やプロービング寸法の誤差は球を測定し,長さ測定誤差はボールアレイを測定し,平面平常測定誤差については平面を測定します。
ここまでは,3次元測定機に非接触センサーが付いたものでしたが,JIS B7440-13では光学式座標システムが予定されています。日本が中心となりISOとしてはすでに発効されています。これは,パターン投影やフリンジ投影,スキャンされた線の投影・掃引など,非直交CMSによる光学式3D-CMSの受入検査です。やり方は同じで,2つのボール間距離を測定機で測り,ボールの位置を変えることでそれがどれくらいバラつくか,全体的にはどれくらいの誤差があるかを評価します。寸法測定誤差については,ボールアレイを様々な方向に置いて測定し,平面形状測定誤差は,様々な方向に平面を置いて平面の誤差を評価します。
いくつか例を示しましたが,画像や距離センサーを3次元測定器に搭載して使うものと,切り離して単独で使うものの受入検査については,ISOができたので,測定装置間の比較などもできるようになってきています。
東京大学 名誉教授 高増 潔
1982年 東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻 博士課程修了(工学博士) 1982年 東京大学工学部精密機械工学科 助手 1985年 東京電機大学工学部精密機械工学科 講師 1987年 東京電機大学工学部精密機械工学科 助教授 1990~1991 英国ウォーリック大学 客員研究員 1993年 東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻 助教授 2001年 東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻 教授 2020年 東京大学 名誉教授